佐賀県有田町の企業誘致とは?400年続くモノづくりの町と世界!2万人の小さな町の大きな夢

「佐賀県有田町」と言えば、世界中から人気の「有田焼」が有名ですよね!

でも、有田町の企業誘致となると………どんな取り組みをしているのか分からない。

そこで、佐賀県有田町の松尾佳昭町長や職員、実際に有田町へ企業進出した会社の社長さんにも佐賀県有田町の企業誘致についてインタビューしてきました!!

地方への企業進出について関心のある方に、有田町の魅力と企業誘致の取り組みについてどこよりも詳しくご紹介します。

目次

イタリア・ローマ出張中の町長に突撃インタビュー!!~町長と企業誘致~

【編集部】

イタリアの風吹くローマでお忙しい中、佐賀県有田町の松尾佳昭町長に本日はリモートでお話伺っています。町長よろしくお願いいたします。

【町長】

こちらこそよろしくお願いいたします!

【編集部】

まず、有田町を訪れたことのない方のために、有田町は佐賀県のどのあたりに位置するか教えて下さい。

【町長】

有田町は、佐賀県の西部に位置し、人口約2万人の小さな町です。

【編集部】

世界的にも有名な有田焼があるので人口2万人は意外でした!有田町は人口が少ないながらも物凄い発信力があるんですね!

【町長】

有田町は、その小さな規模に反して文化的な豊かさと創造力が溢れています。

【編集部】

さすが、歴史ある有田焼の伝統が息づく有田町です!ここからは「町長と企業誘致」と題して、これからの有田町について伺いたいのですが、有田町は今後どのような未来を目指されているのでしょうか?

【町長】

400年の歴史を持つ有田焼の町として、私たちは伝統とイノベーションの融合を目指しています。

私たちが暮らす有田町は、その豊かな文化遺産と革新的な精神によって、新しい時代のクリエイティブな産業を引き寄せる理想的な場所にしたいと考えています。

【編集部】

町長の掲げる理想の未来を実現するために、企業誘致は欠かせないというわけですね。

【町長】

有田町の将来を考えた時、私たちは大規模な製造業と同時に、地域に根差した小規模なクリエイティブ産業の企業誘致に力を入れることを考えました。

具体的には、IT関連やデザイン関連の企業です。これらの産業が有田町の文化的背景と相乗効果を生み出し、新しい可能性を開くことを信じています。

【編集部】

確かに、有田町の特性を活かしてさらに発展させるには、IT企業やデザイン関連企業との相性は良さそうですね。

【町長】

有田町は、伝統産業である有田焼を基幹産業として発展してきました。

有田焼は、400年以上の歴史を有する産業です。その歴史の中で、伝統を守り、新たな挑戦を続ける精神が育まれており地域に根付いています。この精神がクリエイティブな仕事に適しているんです。

実際に、有田町はクリエイティブな分野でポテンシャルが高い人材を輩出し続けており、人間国宝も排出しております。

【編集部】

この有田町だからこそ、受け継ぐことができた高い技術力と精神力に恵まれた人材が生まれたと言っても過言ではありませんね。企業誘致に関して有田町ならではの戦略はありますか?

【町長】

町としては、クリエイティブ産業を支援するための制度を整備しています。

例えば、3ヶ月間海外にショートステイして作品をひとつ作り上げてくる、といったプログラムを実施中です。

海外からも有田焼の人気は高く、海外への展開も見込めると思っています。

また、佐賀県やオランダとの協力を通じて国際的な交流を促進しており、こうした取り組みが町の魅力をさらに高めています。

【編集部】

今まさに、イタリア・ローマにいらっしゃいますが、日本国内だけでなく海外の企業も取り込んでとなると夢が広がりますね。

【町長】

有田町は小さいながらも世界的に知られている町です。

私たちは、伝統を守りながらも、新しい文化や産業を積極的に取り入れ、町全体を活性化させることを目指しています。

この町が世界的に見てもクリエイティブな才能やアイデアに満ち、活力あふれるコミュニティになるよう「まちづくり」を行っています。

【編集者】

最後に、有田町のキャッチコピーを聞かせて下さい。

【町長】

【編集者】

町長の熱い思いと有田町の未来に対するビジョンが伝わってきました。

私たちも世界中から注目される有田町のクリエイティブ産業の躍進に期待しています。

お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

続いては、有田町の職員へインタビューしました!~企業進出、職員とともに~

【編集部】

まず、職員の方から見た有田町ってどんな町ですか?

【自治体職員】

有田町は、本当にユニークな特徴をたくさん持っている町です。

例えば、どんなユニークな特徴があるんですか?

【自治体職員】

一番の特徴は、400年以上続く『ものづくり』の文化ですね。町長もインタビューで言及している通り、この伝統は町の至る所に息づいています。

そして、大きな窯業から小さな工房まで、多種多様な窯業関連の事業者が集まっているんです。

【編集者】

有田の町に広がる大小の窯、目に浮かんできます。いい風景ですね!

【自治体職員】

毎年春には「有田陶器市」で町が活気づき、100万人もの人が訪れます。

自然も豊かで、美味しい農作物がいっぱい。それに、佐世保市や伊万里市と隣接しており、近代的なものづくりの面でも恵まれているんですよ。

【編集者】

2万人の町に、100万人が訪れるんですか!それだけ集客が見込めるということは有田町で企業誘致するメリットたくさんありそうですね!

【自治体職員】

有田町では、企業様がスムーズに事業を展開できるよう、様々なサポートを行っています。

経済的な面では、補助金や税制の優遇制度を設けており、企業様の経済的な負担軽減に努めているところです。

また、事務所や工場用の物件をお探しの際には、町が所有する物件の提供や民間物件の情報提供も行っておりますのでお問い合わせ下さい。

有田町の企業誘致に関する優遇制度~3つの奨励金~(令和6年1月1日現在)

【編集者】

手厚いサポート体制が整っているんですね。人材採用面に関してはどうでしょう?

【自治体職員】

人材採用に関しては、企業説明会のサポートも提供しておりますし、ビジネスチャンスの創出にも積極的に関わっています。これらのサポートにより、進出企業様には多くのメリットを提供できると考えております。

具体的には、近隣市町と連携し、市町合同での企業合同説明会を年に3回程度開催する予定です。これにより、地域の方々に直接企業の魅力を伝える機会を提供します。

単独の企業説明会についても、その情報を広めるために町内外の様々な場所にチラシを配布するなど、企業が求める人材を見つけやすくするための手助けを惜しみません。

【編集者】

心強いですね!地元の若い担い手の確保については、どんな取り組みをなされていますか?

【自治体職員】

佐賀県や近隣県のIT関連専門学校で有田町進出企業に特化した学内説明会を開催する予定です。

これにより、専門的な技術・知識を学んだ若い才能を採用する機会を提供します。

私たちは、企業と地域が共に成長し、繁栄するための強いパートナーシップを築けることを願っています。

また有田町には教育機関も整っていて、クリエイティブな学生たちが揃っていると伺いました。

有田町には、佐賀大学の有田キャンパスがあって、ここでは特にデザインを学ぶ学生が多いんです。彼らはクリエイティブな力を持っていて、町の文化やビジネスに新しい風を吹き込むことができます。

それから、有田工業高校もありますよ。ここでは電気や機械、セラミックの技術を学ぶ生徒がいて、工業の分野で活躍することが期待されています。また、デザイン科の生徒は美的センスを生かした産業に貢献することができるんです。

このように、有田町にはいろいろな才能を持った学生がいて、それぞれの分野で活躍する準備をしています。

【編集者】

有田町で優秀な人材が確保できる点も魅力的です。企業誘致において注力している産業は、どんな分野でしょうか?

【自治体職員】

IT関連企業、特にデジタルコンテンツ制作機能を持つ企業の誘致に力を入れています。

また、半導体関連企業などの先端ものづくり企業にも注目しているところです。

これらの産業は、技術革新の最前線にあり、町の将来の成長を支える重要な役割を担っています。

また、これらの産業を通じて、有田町の多様性と革新性を高め、新しいビジネスのチャンスを創出していくことを目指しています。

【編集者】

その新たなビジネスチャンスを求めて、企業が有田町に進出する際、進出決定から実際の進出までに通常どれくらいの時間がかかりますか?

【自治体職員】

進出までの時間はケースバイケースですが、最短で初めての視察から2か月後に進出が決定したケースもあります。

一方で、初めての視察から3年後に進出が決定したケースもあります。このケースでは、定期的な情報交換等を行い、関係性の構築に努めてきました。

進出決定までの期間は、企業のニーズや準備状況に応じて異なりますが、有田町はそれぞれの企業に対して、適切なサポートを提供しています。

【編集者】

企業に合わせて進出時期を調整できるのもいいですね。進出した際、有田町で働く魅力はどういったところでしょうか?

【自治体職員】

有田町での働き方の魅力は、自然豊かな住環境での心地よい生活にあります。

町内には豊かな自然、歴史ある建造物・文化施設等があり、仕事とプライベートのバランスを重視する方には理想的な環境です。

【編集者】

仕事とプライベートどちらも充実できそうですね!最後に、有田町職員の皆様から有田町へ企業進出する一番のメリットをご紹介ください。

【自治体職員】

一番のメリットは、私たち自治体職員によるサポートです。進出時の補助金等の支援はもちろんですが、進出後のサポートについても力を入れております。

進出していただいた企業様のニーズや困りごとを把握するため、定期的に訪問によるヒアリングを行っているところです。

また、投資額や採用人数の大小に関わらず親身になって支援しています。

小さな自治体なので、大規模な経済的な支援等は難しい部分がありますが、小さな自治体の特性を活かしたきめ細やかで、スピード感のある支援を行わせていただきます。

【編集者】

なるほど、自治体職員の積極的で、細やかなサポートに加え、スピード感をもって支援していただけるのは、進出企業にとってとても心強いですね!貴重なお話ありがとうございました。

有田町へ企業進出した(株)イノベーションパートナーズの本田晋一郎社長にインタビューしました!!

【編集者】

まず、本田社長、有田町に進出した経緯を教えて下さい。

【本田社長】

我々は、有田町に拠点を構える前に、佐賀県嬉野市に県内に初の拠点を構えました。

嬉野市に進出にする際に、佐賀県からのサポートがあったのですが、当時の佐賀県の担当職員が有田町からの出向者であるという話を聞き、有田町に興味を持ちました。

そこで、有田町の人々と接点を持つなかで、有田町との関係性が深まり進出を決めたという経緯があります。

【編集者】

有田町の方々とのご縁がきっかけだったんですね!でも、一番の決め手は何だったんですか?

【本田社長】

単に補助金があるからという理由ではなく、自治体との関係を重視し、また、進出先の自治体職員が民間企業と近いマインドセットを持っているということが一番の決定理由となっています。

【編集者】

気持ちが通じ合ったことが決め手だったんですね!本田社長は、この有田町に進出して現在はどのような事業をされているのですか?

【本田社長】

有田町での私たちの主な取り組みは、有田焼の販路拡大のご支援です。

有田焼は、この地域の特色を象徴する素晴らしい製品で、その価値をいかに高め、より多くの人々に届けるかを考えています。

特に、有田焼のプロモーションに力を入れており、多くのお客様に喜んでいただけるような取り組みを心がけています。

【編集者】

有田焼のプロモ―ションとは、具体的にはどのような取り組みですか?

【本田社長】

プロモーションは、新商品の広告戦略を考えたり、広告のビジュアルを作ったり、CMのキャスティングや媒体選定などを行っています。

代理店や制作会社との連携で、これらの制作周りを進めているところです。例えば、1000人などの大規模な対象者に対しても、開かれた町としての有田町をアピールしています。

【編集者】

また、新しい有田町や有田焼の魅力が引き出されておもしろそうですね!でもどうして、その活動をしようと思ったのですか?

【本田社長】

有田焼は国内はもとより、ヨーロッパの王族貴族に好まれた焼き物としてトップクラスの地位を誇っておりました。

しかし、現代では伝統的なビジネスモデルのみでは、価値を高めることは困難です。事実として、有田焼の販売数は最全期と比較し減少しています。

このような状況で重要なのは、文化を守るだけではなく、事業を継続させるため、伝統的なビジネスモデルに縛られない新しいユーザーを取り込むための取り組みを行うことです。

作っても売れなければ、事業は成り立ちませんし、文化の継承も難しくなります。

だから私たちは、文化を守りつつ、新しいユーザーにも魅力的な有田焼を提供することを考えています。

【編集者】

400年続く有田焼の伝統文化を守るためには、新しいユーザーの取り込みが大事!ということですね。

【本田社長】

有田町に訪れる方の多くが有田焼を求めて来町されますが、全員が有田焼だけに興味を持っているわけではありません。

そこで、有田焼だけでなく、さまざまなコンテンツを提供し、訪問者の皆様が有田町という地域を楽しめるように工夫しています。

これにより、滞在時間の延長や新しい販路の拡大につながることを期待しています。

有田焼を中心に据えつつ、多様な商品や体験を提供し、有田町を訪れるすべてのお客様に楽しんでいただけるよう努めているところです。

【編集者】

本田社長は、有田焼を通して有田町の魅力を広める事業をされていますが、新参者として企業進出して苦労したことはありますか?

【本田社長】

実際のところ、どの自治体も一定のポテンシャルを持っていますが、まだ名前が知られていないような我々のような企業にとっては、地方の企業へのアプローチが難しいことがあります。

アポイントを試みても、アポイント自体ができなかったり、接触できてもビジネスに発展しない場合も多々あります。

【編集者】

その場合、どのように対処されているのですか?

自治体を介して話を進めるとアポイントメントの取得が容易になるケースが多く、ビジネス機会創出の可能性が大きくなります。

こうした経験から、自治体を介したアプローチには他にはないチャンスがあると感じています。

【編集者】

自治体の協力が得られる点は大きいですね!有田町での人材採用面でご苦労はあったんですか?

【本田社長】

採用面でも、専門学校や大学などの教育機関との関係を強化し、私たちの事業内容や求める人材について理解を深めるサポートを受けています。

通常、教育機関との連携を築くのは難しいことがありますが、自治体が協力してくれると、こうした接触が実現できるのです。

佐賀県や有田町に関して言えば、他の自治体と比較しても、サポートが非常に手厚いと感じています。

【編集者】

私も地元が佐賀県なので、誇らしいです。そろそろ有田町での生活にも馴染まれてきた頃かと思いますが、有田町の県民性や地域特性、そして社交性についてどのように感じていますか?

【本田社長】

有田町の人々は真面目で、物づくりに対し強いこだわりを持たれています。伝統文化が根強く残る地域で、物の本質を深く理解する人が多い印象です。

ただし、日本人全体の傾向として、既存コミュニティーに外部の人間が入ることに対してセンシティブに反応するように、有田町も例外ではなく、外部の人間の介入に対してセンシティブになる傾向があるように感じています。

【編集者】

そうした地域特性を踏まえ、有田町での協力関係はどのように築いていますか?

【本田社長】

有田町や佐賀県の関係者と密接に連携し、地域の特性を理解しながら関係を築いています。

地元の方々を説得し、協力を得ることが重要です。自治体との協力は、非常に意義深く、共同での取り組みを進めています。

なるほど!有田町に企業進出してみて、都心との違いは感じていらっしゃいますか?

【本田社長】

ビジネスを行う上で、都心部と地方では大きな違いは感じています。

【編集部】

例えば、どんな違いでしょうか?

【本田社長】

都心では営業活動が比較的容易ですが、地方では必ずしもそうではありません。

地方に拠点を置くことは、地域に深く根差すことを意味し、リスクが伴います。有田町はこの点を理解しており、サポートを提供してくれます。

また、地域の特徴や特有の情報を得やすいということで、プロポーザルや企画コンペ等に参加するチャンスが増えます。

このような点が地方に拠点を持ち、ビジネスを拡大させることができる大きなメリットです。

【編集者】

その土地に根付くことで企業活動がしやすくなるメリットを感じていらっしゃるんですね。本田社長、有田町での今後のビジョンをお聞かせください。

【本田社長】

有田焼自体は400年以上の歴史を持ち、その伝統を守りつつ、市場の動向に合わせた新しい商品開発にも積極的に取り組んでいきます。

伝統の良さを残しつつ、時代に合った新しい商品を生み出すことで、窯元の販路支援ができたら良いなと考えているところです。

有田焼という素晴らしいブランドに関われること自体、私にとっては非常に幸せなことです。伝統を大切にしつつ、新しい時代に合ったプロダクトを作っていきたいと考えています。

【編集者】

最後に、これから有田町に企業進出しようと考えている方のために、一言いただけますか?

【本田社長】

有田町の魅力は、自治体職員の前向きな姿勢です。

町長や職員たちは、町を良くしようという強い意志を持っており、外部の人々との協力にも熱心です。

有田町を良くするために多くの取り組みを繋げており、この姿勢は他のベンチャー企業にとっても魅力的だと思います。

【編集者】

町長をはじめ自治体職員の熱心な姿勢が、本田社長の心を動かし、本田社長が有田町や有田焼の新たな魅力を発信することで、有田町全体の力になっているんですね。

「人と人とのつながりが町をどんどん良くしていく」そんな言葉がしっくりくる貴重なお話でした。

本田社長のこれからのご活躍と、有田の町の更なる大きな夢の実現を応援しています。ありがとうございました!!

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